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シニア世代のワクチン、予防接種情報

病気を引き起こす細菌やウイルスから身を守るためのワクチン。身近な人への感染を防ぐ役割もあり、医学史上最大の発明品とも言われています。特に、重症化リスクの高い高齢者にとって、定期的なワクチン接種は非常に重要です。今回はシニア世代に推奨されているワクチン、予防接種についてご紹介します。

健康や命を守るワクチン

感染症にかかると、身体の中で細菌やウイルスなどの病原体と闘う免疫が作られます。その仕組みを利用したものがワクチンです。ワクチンには、感染そのものを防ぐ「感染予防」、感染しても重症にならないようにする「重症化予防」、細菌やウイルスと闘う力を多くの方が持つことで社会全体を守る「集団免疫」などの効果があります。

 

そのため、日本では免疫機能が未熟な乳幼児をはじめ、免疫力が低下する高齢者や基礎疾患をお持ちの方などに、国民の健康や命を守ることを目的に予防接種が勧められています。しかし、健康状態やアレルギーの有無などによっては接種できない場合もあるため、接種の際にはかかりつけ医や医療機関に相談しましょう。

シニア世代に推奨されているワクチンは?

免疫力の低下するシニア世代は感染症にかかりやすく、重症化・死亡リスクが高い傾向にあります。そこで、シニア世代に推奨されている「肺炎球菌ワクチン」「インフルエンザワクチン」「帯状疱疹・水痘ワクチン」の3つの予防接種についてご紹介します。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌は乳幼児の20~50%、成人の3~5%の鼻やのどの奥に住みついている身近な細菌です。主にくしゃみや咳などの飛沫を介して感染しますが、健康な方が肺炎球菌を保菌していても問題はありません。

 

しかし、免疫力が低下している高齢者は肺炎や敗血症などの肺炎球菌感染症を引き起こしやすく、死に至る場合もあります。そのため、高齢者は肺炎球菌ワクチンを接種し、発症や重症化を予防することが大切です。また、近年では薬が効きづらい薬剤耐性菌が増えて治療がスムーズに進まないケースもあるため、肺炎球菌ワクチンの接種がより重要視されています。

 

60~64歳で心臓・腎臓・呼吸器・免疫機能に重篤な障がいのある方と65歳の方は、一部公費負担で肺炎球菌の予防接種が受けられます。自治体や病院によって自己負担額が異なるため、接種をご検討中の方はお住まいの市区町村などに確認してみてくださいね。

インフルエンザワクチン

日本では、例年12~3月にインフルエンザが流行します。感染力が非常に強く、いったん流行が始まると短期間に多くの方へ感染が拡がるウイルスです。38℃以上の発熱や関節痛、全身倦怠感などの症状が現れ、重症化すると肺炎やインフルエンザ脳症などの重篤な合併症を引き起こすこともあります。特に、高齢者や持病のある方は重症化しやすいため、インフルエンザワクチンを接種して発症や重症化を予防することが大切です。

ただし、ワクチンが効果を発揮するまでには2週間ほど時間が必要なため、流行時期を逆算して11月中に予防接種を受けておくことをおすすめします。

 

60~64歳で心臓・腎臓・呼吸器・免疫機能に重篤な障がいのある方と65歳以上の方は、一部もしくは全額公費負担でインフルエンザの予防接種が受けられます。自治体や病院によって自己負担額が異なるため、接種をご検討中の方はお住まいの市区町村などに確認してみてくださいね。

帯状疱疹・水痘ワクチン

帯状疱疹は、水痘(水疱瘡)と同じウイルスで起こる感染症です。初めて感染したときは水痘として発症し、加齢や過労などで免疫力が低下すると体内に潜み続けたウイルスが暴れ出して帯状疱疹を発症します。

 

帯状疱疹は痛みやかゆみを伴う帯状の発疹が特徴で、重症化すると顔面麻痺や失明、難聴などの重篤な後遺症を起こすこともあります。日本人の成人およそ9割は水痘帯状疱疹ウイルスを持っているとされており、水痘にかかった覚えがないという方もいつ発症するかわかりません。帯状疱疹にかかりやすくなる50歳以上の方は、帯状疱疹のワクチンを接種して発症や後遺症を防ぐことが大切です。

 

帯状疱疹・水痘ワクチンは任意接種のため全額自己負担ですが、自治体によっては補助金を出しているところもあります。接種をご検討中の方は、お住まいの市区町村などに確認してみてくださいね。

まとめ

細菌やウイルスを体内に取り入れてしまったからといって、必ずしも感染症にかかるわけではありません。しかし、シニア世代は感染症にかかりやすく、重症化しやすいため、「予防」という観点を持つ事が非常に重要です。ご自身はもちろん、ご主人や奥様、同年代のご友人など、大切な方の健康と命を守るために、ワクチンの接種を検討してみてはいかがでしょうか。