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高齢者が季節を感じるためのお料理の工夫

季節の彩りを食卓に

 

日々の暮らしの中でちょっとした自然の変化を感じると、幸せな気分になることはありませんか。近頃は「春なのに暑い」「秋がほとんどなかった」「冬なのに温かい」など、異常気象もあり四季の移ろいを実感しづらくなり、少し寂しいですね。ご高齢者の方も昔のように自然を身近に感じたいという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、お料理や食卓で季節を感じるための工夫をご紹介します。

 

旬の食材をいただく

 

自然から遠い街中に暮らしていても、旬の食材がスーパーに並んでいると、ふと季節を感じられるものです。

「もう竹の子が出る季節になったのね」

「そろそろブリがおいしい頃だわ」

そんなふうに食材で季節の変化を知るのは、静かな水面にポトンと美しい桜の花びらが落ちたような、ふわっと心が浮き立つ一瞬でもあります。

 

(1)旬の食材を一品だけでも取り入れる

例えば最近はあまり見かけなくなった山菜。高齢者の方なら「懐かしい」と笑顔を浮かべてくれるかもしれません。そんな季節の贈り物をお料理の一品として食卓に並べてみましょう。旬の食材を食べながら、季節の話や昔話に花を咲かせれば、きっと高齢者の方も楽しい時間が過ごせます。

 

(2)彩りで季節を感じる

お料理の盛付にも季節を取り入れてみましょう。菜の花の和え物に桜えびをトッピングしたり、涼しそうな水色やグリーン、オレンジ色のそうめんを使ってみたり。あまり硬いものが食べられない方には、桜やもみじなどを型取ったゼリー状の料理などがおすすめです。普段は食が進まないご高齢者も、楽しんで食べてくれるのではないでしょうか。少し手間はかかりますが、その分きっと喜んでもらえるはずです。一緒に作ってみるのもいいですね。

 

(3)季節に合わせた食器を使う

お料理を入れる食器にもひと工夫しましょう。春にはパステルカラーの淡い色を基調とした可愛い食器を。夏はガラス製の食器や白・薄いブルーなど、涼しげな色の食器が合います。秋は、えんじ色やベージュ、深い緑や赤、茶色の食器がおすすめです。少しざらっとした質感の食器はさらに温かみを感じます。冬は温かい料理を入れてもすぐに冷めない厚めの食器。ランチョンマットも季節に合わせてコーディネートしてみてください。

 

行事食で季節を感じる

 

行事食とは、節分やひな祭りなど、日本に昔から伝わる節句の時に食べるお料理です。今では、ハロウィンにクリスマス、バレンタインデーなどの様々な行事に合わせてお料理を楽しめますね。ご高齢者の行事食には、まずは昔ながらの節句料理から始めてみましょう。昔を思い出し、懐かしみながら喜んでもらえるかもしれません。

 

(1)お正月

お正月と言えばおせち料理にお雑煮ですね。おせち料理はぜひおばあちゃんと一緒に、作り方や昔ながらのしきたりなどを教えてもらいましょう。お雑煮に入れるお餅は喉を詰まらせないよう注意をしてください。他にも、1月7日の七草がゆはご高齢の方も食べやすくておすすめです。トッピングで初春らしさを演出しても楽しいですね。

 

(2)ひなまつり

色鮮やかなちらしずしに、茶碗蒸し、はまぐりの酒蒸しやお吸い物。そして、ひなあられや桜餅。ひなまつりの食卓は縁起の良いメニューが並び、桜でんぶのピンクや、菜の花やフキなど季節の野菜の色合いで華やかになりますね。華やかなお料理に、普段箸の進まない方にも喜んで食べていただけるかもしれません。

(3)お花見

待ちに待った桜の季節。ぜひ、お花見弁当を持って桜を見に出かけましょう。「おにぎり」や「卵焼き」「から揚げ」など、外でもぱくっと口に運びやすいものをお弁当箱に詰めてあげるといいですね。おにぎりは、握るご飯や中に入れる具材でバリエーションも増やせます。せっかくの桜をゆっくりと楽しんでもらえるよう、人出が多く混雑する場所よりも、近所の公園などがおすすめです。

 

(4)七夕

涼しげなそうめんは、つるっと口当たりがよく食が進みやすいメニューです。他にも、土用のうなぎを食べれば暑い夏も乗り切れそうですね。食が細くなりがちな夏は、見た目や香りで五感を刺激する事をおすすめします。野菜で色合いを鮮やかにする、薬味を効かせて香りをプラスするなど、食欲を増進する工夫をしてみましょう。食事中に一緒に水分補給もできるといいですね。夏を感じながら少しでも涼しく、快適に過ごせるように工夫してあげましょう。

 

(5)重陽の節句

9月9日の重陽の節句は五節句の1つで、家族の無病息災や子孫繁栄、不老長寿を願い、祝いの宴を開いたことが起源です。「菊の節句」「栗の節句」ともよばれる事から、菊酒や菊茶、栗ごはん。他にも、月に見立てた里芋の料理なども行事食として用いられます。旬の秋ナスを使って、「茄子の煮びたし」や「焼き茄子」などの茄子料理もいいですね。この頃はちょうど夏の疲れが出やすい時期です。季節の彩りを添えた素敵なお料理で、しっかりと栄養を摂れるようにしましょう。

 

(6)ハロウィン・紅葉狩り

10月末のハロウィンは最近のイベントですが、カボチャ料理ならご高齢者にも食べやすいので取り入れましょう。この季節はサツマイモや栗、きのこなど旬の食材が豊富です。季節の炊き込みご飯やキノコ料理に真っ赤なもみじを添えれば、紅葉狩りの気分も楽しめます。

 

(7)クリスマス・大晦日

12月と言えばクリスマス、そしてイチゴのショートケーキです。クリスマスカラーで飾り付けた部屋で、クリスマスのお祝いをしましょう。大みそかの年越しそばは、就寝時間が早い高齢者の方に合わせて昼食として食べると身体の負担を減らせますよ。

 

季節を取り入れた豊かな暮らしを

 

日本は豊かな自然があり、四季があるとても美しい国だといわれています。季節を感じながら、自然からいただいたおいしい食材をいただく…なんて贅沢なことでしょうか。季節の折々に楽しいお料理が待っていると思うだけで、ご高齢者も楽しみを増やしてもらえるはずです。

 

旬の食材を使いながらご高齢者と一緒に料理を作ったり、季節を感じられるテーブルセッティングでお食事を楽しんでみませんか。