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親が高齢化したとき、家族が情報共有すべきこと

親が高齢化したとき、家族が情報共有すべきこと(終活を逆からみて考える)

 

1.親が元気なうちに話し合おう 

親が年を重ね健康状態が変わってくると、介護や相続のことが気になってきます。とはいえ、本人にいざという時の話は切り出しづらいものです。しかし、親の意向を聞かないままにしておくと、後で困るのは子供世代です。親がどのような介護を望んでいるのか、葬儀の形式は?相続についてはどう考えているのか?など、話し合わなければわからないことはたくさんあります。

 

今回は、親の高齢化に伴って家族が把握しておきたい事、親とともに進める終活のポイントについて解説します。

 

2.なぜ情報を共有する必要があるのか

そもそもなぜ親の意向や親に関する情報を共有した方が良いのでしょうか。それは、家族・きょうだい間でのトラブルを防ぐためです。

 

家族・兄弟間で起こるトラブルとは?

親が物事を自分の意思で決定し、行動できるうちは問題は起きません。しかし、何らかの理由で子どもや家族の介護・介助が必要となったときを考えてみてください。直接介護する人と、それ以外の兄弟・家族が事前に情報を共有しておかないと、後々「勝手に決めて」「そんなことは聞いていない」などとトラブルになるかもしれません。

 

親の体調が悪く病院で検査を受けるとき、その費用は親のお金を使う事になります。ところが事前にほかの家族に連絡しておかないと、「勝手に不必要な検査をした」「余計な出費をさせた」と言われるかもしれません。そのようなわずらわしさを避けるためにも、親の状況・介護状態などについて、家族間で連絡を密に取っておきましょう。兄弟でグループLINEなどを作っておくと便利です。

 

 

親の生活状況を共有する

同居している場合、ある程度は親の状態が把握できます。しかし同居で生活状況は見えても、親が何を考え、いざという時どんな形を希望しているかは密なコミュニケーションを取らないと分からないものです。親と離れて暮らしている場合、親は子供に心配をかけたくない思いから悩みや困りごとを話さない方も多くいます。だからこそ、まめに連絡を取りこちらから状況を聞いてあげることがとても重要になります。

 

普段の生活リズム、健康状態、近所の親しい人などの情報を把握し、家族・兄弟でも共有しましょう。あまり普段から自分の話はしない親御さんでも、毎日同じ時間帯に電話をしたり、通院に付き添ったりすることで、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。

 

 

3.情報共有しながら親の終活をスムースに進めよう

親の終活を一緒に進めることもおすすめです。親と話し合いながら終活を手伝うことでコミュニケーションも増え、親の心の内を知れる機会があるかもしれません。

 

子供や家族から急に「終活をしよう」と言われると、不快に感じる親御さんもいるかもしれません。しかし、終活は今までの人生を振り返り、これからをどのように生きていくか考えるために行うものです。年末年始やお盆で集まった機会に親と話し合ってみましょう。そして、ぜひ前向きな気持ちを持って進めてもらいましょう。

 

エンディングノートの記入

終活を進めるにあたって、まずはエンディングノートを書いてもらう事をお勧めします。エンディングノートとは、現況の情報と共にこれからのさまざまな希望を書き込める覚え書きのようなものです。もちろんすべてについてすぐに書き込む必要はありません。まずは、家族が知っていないと困る項目から書き込みましょう。最初は、病気や怪我をした時に備えて、持病・かかりつけ医・服用中の薬などについて記入してもらうと安心です。お薬手帳や保険証、診察券の保管場所なども家族で共有しましょう。

 

エンディングノートは親が気づいたときに書き足してもらう事をお勧めします。定期的に家族で確認しておけば、家族・兄弟が親の気持ちをいつでも共有できます。

 

介護について

もし介護が必要になったとき、誰に介護してもらいたいか、要介護度が進んだときは、施設入居を希望するか、出来る限り自宅で過ごしたいかなどは、介護を担う家族・子供にとってとても重要な情報です。介護状態になっても親が幸せでいられる環境を作るために、ぜひ共有しておきましょう。

 

家をどうしたいか

もし実家に親だけが住んでいる場合、のちのち実家を処分するか、子どもに残したいか、売却して施設入居の費用に充てるか等についても親の意向を聞いておく必要があります。

 

介護資金・老後資金の確認

親の財産全体を子供が把握する必要はありませんが、十分な老後資金があるか、生活費に不自由はないか、年金で生活できるかなどは確認しておくと安心です。万一不足している場合は、子供やほかの家族が捻出する必要が出てきます。その場合、どのような方法・割合でお金を出すのかについても、この機会に話し合っておくと良いでしょう。また、金融機関の通帳や印鑑、マイナンバーカードなどの保管場所も共有しておきましょう。

 

葬儀・お墓に関すること

葬儀やお墓について親に聞くことは、少し抵抗があるかもしれません。しかし、あとで困るのは残された家族や子供です。無理に聞き出すことは避けたいですが、親の意向を反映させたいという子供の気持ちをしっかりと伝えて話し合いましょう。

 

 

4.親の気持ちを知ることが大切

終活は自然とその人の最期を連想させるため切り出しづらく、ついつい先延ばしにしがちです。また、終活には相続などの金銭的な問題も発生するため、家族間の関係が崩れる可能性もあります。

 

終活は、親が最期まで充実した暮らしをするために必要なものです。まずは家族・子供側が、親を大切に思っているからこそ準備したい旨を伝えましょう。そして、親が出来るだけ思い通りの人生を送れるように、お互いの気持ちを共有しながら家族でサポートしていきましょう。