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デイサービスなど高齢者施設でのレクリエーションの効果と目的とは?

1.フレイル予防の観点からのレクリエーションの多様化

「フレイル」「フレイル予防」という言葉が使われるようになり、10年ほど経ちました。
「フレイル予防」という考え方は、とても重要となっています。

デイサービスなど高齢者施設では集団活動が多かったレクリエーションも、今は個別と集団、内容も多岐にわたっています。
全身を動かす目的の魚釣りや、ボーリングを始め、他者交流を目的としたカラオケや料理教室などがあります。最近はパソコンやスマートフォン教室なども人気のレクリエーションです。
デイサービスなど高齢者施設でのレクリエーションは、フレイル予防に効果的と考えられるようになり、一人ひとりの趣味や知りたいこと、必要なことに寄り添ったレクリエーションとなってきているからです。
レクリエーションは、高齢者一人ひとりの心身の活性化を図り、より元気に生活していただくための重要な手段となっているのです。

 

 

2.デイサービスなど高齢者施設でのレクリエーションの効果と目的

レクリエーションを行うことで具体的には以下の効果が期待できます。

(1)身体機能の維持・向上
座った形で行う体操や手足の運動、体を動かすレクリエーションをご存じでしょうか。
職員や機能訓練士・インストラクターの真似をして体を動かしていくだけでも、身体機能の維持・向上に効果が期待できます。
他には大き目のテーブルをはさんで行う風船バレーがあります。高齢者の皆さんはとても一生懸命、ムキになって取り組んでおられます。子供じみた遊びと思われがちですが、精一杯手を伸ばして風船にも触ろうといつも以上に体を使われます。楽しくいつもより少しだけ大きく動くというのも、とても大切なのではないでしょうか。

(2)認知機能の維持・向上
脳トレやクイズ、頭を使うゲームが主になります。
よく「認知症にはなりたくない」なんて言葉をおっしゃる方もいらっしゃいます。
クロスワードや、漢字検定など、自室や自宅で一人の時間に行う方も多いです。クロスワードなどに関しては、いろいろ頭をひねり、記憶の中にある言葉を探すことも多いことから、記憶力や集中力へのアプローチになります。
昨今、手を使うことに関して特に認知機能の維持につながると言われています。
料理もレクリエーションではとても人気のプログラムで、認知機能へのアプローチとしてとてもいいと言われています。
日常的にしているから「?」と思われる方も多いですが、冷蔵庫にある食材で献立を考え、包丁を使い食べやすくメニューに合わせて煮炊きをし、味付けをする。
手先の作業が多いこと、匂い味見等の五感を使うことが認知機能へのアプローチになります。

(3)社会参加の促進
実は一番難しいのが、この社会参加の促進だと個人的には思います。
カラオケや周囲の方との交流が好きな方は、何もしなくても行えます。
集団でのレクリエーションに誘えば、あとはお話が始まるのです。
ですが、そうではない方へのアプローチがなかなか難しいのです。
集団での体操に誘えば…デイサービスに行けば…社会参加しているとも言えます。
ですが、それだけで本当に社会参加になるのでしょうか。
個人的には、園芸がとても社会参加にはお勧めです。
花や野菜の種をまずはヨーグルトカップなどで植えはじめ、大きくなったら施設の庭や鉢植えに植えなおす。
ゴーヤは簡単に皆さんで話が盛り上がってとても助かりました。
あまり話さない方でも、自分が植えた種が発芽し、花を咲かせると笑顔になるんです。
ゴーヤは暑い夏に窓の下のほうから伸びてくる様子を皆さんで見て話している姿をよく見ました。
別のアプローチとしては、【健康長寿のお花遊びサロン】がおすすめです。上記は園芸ですが、こちらは切り花を用いて行うアートセラピーです。フラワーアレンジメントレッスンや生け花のレッスンとは異なります。たとえば器づくりから創意工夫をおこない認知機能の活性化にもつながりますし、自由なアレンジメント作品を創作することで自分と他者の個性も際立ち、その点でおしゃべりや交流が活発になります。学術的データでネガティブな感情が低減し、ポジティブな感情が増大することがわかっています。また季節ごとの花が変化することで、継続して参加する動機付けにもなります。(詳しくはこちらをご覧ください)

 

3.子供の遊びじゃないレクリエーション

高齢者施設で行われているレクリエーションは、介護保険の始まったばかりの20年前は子供の遊びじゃないんだからなんて言われていた時代もあります。
「明日を元気に過ごすために、今日楽しく過ごしていただく」
それを目標に職員は日々考え工夫し、一人ひとりの高齢者に寄り添い、デイサービスなど高齢者施設で今日もレクリエーションが行われています。
たかがレクリエーションと思われるでしょうが、そこには様々な研究成果や知見が反映され、施設の職員の汗の結晶が詰め込まれているのです。
いかがでしたか?デイサービスなどの高齢者施設でのレクリエーションの効果と目的をご理解いただけましたら嬉しいです。

 

監修・著者プロフィール

監修 公認心理士・健康長寿の花*コミュニケーター 芙和せら
筆者 介護福祉士、レクリエーションインストラクター資格保有 M.N