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家族だけで介護を抱え込まないために知っておきたいこと

0.介護に向き合った経験から伝えたいこと

数年前、突然実母の介護をすることになった私は、毎日悩みながらとにかく頑張っていました。でも、今ならはっきり言えます。

「介護は頑張らなくていい」

家族だけで介護を抱え込む必要もありません。今回は、私の経験もふまえて、今まさに介護を頑張っているあなたにお話しします。

1.溜まる一方の介護疲れ

休みなく続く老親の介護によって積み重なっていく疲労はストレスとなり、日々の生活を圧迫していき、最悪の場合は虐待や家庭崩壊にもなりかねません。

(1)身体的な負担

要介護者の身体を支える、持ち上げることはもちろん、病院や外出の付き添いも、継続すれば大きな負担になります。重度の要介護者なら、トイレの介助や夜間の見守りなども必要となり、睡眠不足にも陥ってしまうことでしょう。家族が交代で介護をしたとしても、毎晩の対応はとても大変です。

(2)精神的な負担

介護は24時間ずっと続きます。家族それぞれ1人の時間が取りにくく、みんながそれぞれにやりたいことを我慢していることでしょう。そうやって介護を優先していると知らない間にストレスが溜まり、心が疲れてしまいます。

すると、普段なら気にならないことにイライラして、つい要介護者やほかの家族にあたることもあるはず。介護者の心に余裕が無くなると、要介護者にも大きな負担を強いてしまいます。

(3)経済的な負担

自宅で介護をするためには、車いすやベッド、介護用品など、経済的な負担も大きくなります。介護と仕事を両立させるために、仕事量を減らしたり、仕事を辞めたりする方も少なくありません。そうなると余計に収入が減り、家計が厳しくなってしまいます。

 

家族だけで介護を続けると、これらの負担は増えることはあっても減ることはありません。ではどうすれば良いのでしょうか。

 

2.介護の負担を軽くするためには?

家族だけで介護を抱え込まないためには誰かに助けを求める・相談することが大切なのです。ただ愚痴を聞いてもらうだけでもいいのです。あなたの不安や悩み事、ほんの些細なことでもかまいません。

多分それだけでも、あなたの心は少しだけ軽くなるはずです。まずはそこから始めてください。

(1)地域包括支援センター

もしも身近に相談する人がいない時は、地域包括支援センターや自治体の福祉窓口へ行きましょう。まだ介護認定を受けていないなら、必ず申請をしてください。介護サービスについての情報提供も積極的に受けましょう。

(2)ケアマネージャー

要介護認定を受けると担当のケアマネージャーが付きます。そして要介護者の状態に応じた最適な介護計画を立てる、家族の状況に応じたサービスについて相談に乗るなどのサポートを行ってくれます。

豊富な介護の知識を持ったケアマネージャーは、家族と要介護者の心強い味方です。私にとっては、辛い時には愚痴も聞いてくれるようなとてもありがたい存在でした。

(3)デイサービス・ショートステイ・訪問介護サービスの活用

デイサービスとは、1日のうち数時間程度要介護者を預かるサービスのことです。ショートステイなら、1泊から1~2週間に渡って要介護者を預かってもらえます。原則同居家族がいる場合は利用できない訪問介護サービスも、要介護者・介護者双方が要支援・要介護の認定を受けていれば、利用もできます。

1日のうち数時間だけでも介護から離れられれば、家族のストレスは少しだけ軽くなるはずです。ケアマネージャーと相談して、少しでも早くあなたの家族と要介護者に最適なサービスの利用を検討してみてください。

 

3.まとめ:介護は家族だけの問題ではない

今や介護は家族単位の問題ではありません。みんなが協力し合わなければなりません。だから、助けを求めることは、悪いことでも恥ずかしいことでもないのです。

1人でがんばっていた私もすぐに限界を向かえ、ケアマネージャーさんに相談しました。その時初めてさまざまな介護サービスのことを知りました。

介護保険でサポートしてもらえることは、おそらくあなたが考えている以上に多いものです。

「使えるものは何でも使う」

楽な介護などないのですから、このくらいの気持ちでどうか「頑張らない介護」をしてください。

 

監修・著者プロフィール

監修 公認心理士・健康長寿の花*コミュニケーター 美和せら

筆者 老親介護経験者 F.H