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高齢者がいる家庭だからこそ避難袋に入れておきたいもの

0.高齢者の方には高齢者用の防災セットを

災害はいつどこで起こるか分からないもの。いざという時に困らないよう、日頃の備えが重要です。特に避難袋は、災害時に迅速に避難し、避難先で安全に過ごすために大切なもので、ホームセンターやネットでもセットになった避難袋をよく見かけるようになりました。家族一人ずつ備えておくことが基本ですが、ご高齢の方の場合、それをご本人が背負って避難できるか、また、市販の避難袋セットの他に必要なものがないかを考えなければいけません。
 
今回は、高齢者が日常とは異なる避難生活を出来るだけ安心して、健康に過ごせるような防災グッズとはどのようなものなのかを具体的にご紹介します。
 

1.一般的な防災グッズと備蓄品

まずは一般的な防災グッズや、備蓄品として必要なものをご紹介します。
 

(1)避難袋に入れるもの

以下のものは、年齢に関係なく避難袋に入れておく事をお勧めされています。「こんなに?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、中身を大きく分類すると、情報を得るためのグッズ・貴重品・飲食料・衛生用品・衣類・日用品があります。
 
・懐中電灯
・モバイルバッテリー
・充電用ケーブル
・電池
・携帯ラジオ
・軍手
・保険証の写し
・持病の薬
・お薬手帳の写し
・現金(公衆電話用に硬貨も必要です)
・水(500mlを3本程度)
・1~2日分の非常食
・飴・羊羹・ビスケットなど
・紙皿・スプーン・箸
・ビニール袋(ジップ付きも)
・防寒グッズや冷却グッズ
・マスク
・除菌スプレー
・ウエットティッシュ
・救急用品
・歯ブラシ・マウスウォッシュなど
・携帯用トイレ
・タオル
・下着
・靴下
・アルミブランケット
・寝袋
・エアーマット
・アイマスク
・耳栓
・ハサミ
・筆記用具など
 
以上の品物は、市販されている防災セットにも入っていますので、家族分を購入しておくと安心です。
 

(2)備蓄品として準備しておきたいもの

自宅から非難をするときや、避難後落ち着いた後に持ち出すために家に置いておく備蓄品は、食料・飲料水・衛生用品を中心に準備しましょう。
 
・非常食3~5日分
レトルト食品・乾パン・缶詰・即席スープ・カップ麺・コーンフレーク・お菓子・栄養ゼリーなど
 
・飲料水3~5日分
水・お茶・スポーツドリンク・野菜ジュースなど
 
・カセットコンロ
 
・携帯トイレ
 
その他、普段使いのトイレロールやティッシュ、ゴミ袋、ポリ袋、ラップも多めに備蓄しておきましょう。

高齢者向けに必要なもの

特に高齢者向けとして避難袋に入れておきたいものと備蓄品について少し詳しくご説明します。
 

(1)避難袋に入れておきたいもの

・持病の薬とお薬手帳
必ず服用しなければならない薬はもちろんですが、いざという時のとんぷくも忘れずに準備しましょう。最低でも2~3日分は入れておく事をお勧めします。
お薬手帳をお持ちの方は、処方薬ページのコピーを保険証と一緒に避難袋に入れておくと安心です。
 
・老眼鏡など
老眼鏡やメガネは、就寝時に枕元に置いている方も多いですが、いざという時に持ち出せなかったり、地震でメガネが飛んで失くしてしまう事もあります。避難袋には、日常使いの老眼鏡とは別に予備を入れておきましょう。
 
・折り畳み式の杖
普段から杖を使っている方は、普段使い以外に避難袋にも予備を入れておきましょう。普段は杖を使っていない方も、避難時は危険な道を歩くこともありますので、念のため準備しておくと安心です。
 
・携帯用トイレや成人用おむつ
在宅非難をする場合は、断水してしまうとトイレが使えなくなります。そのため、携帯用トイレは備蓄品として必須の品物です。また、避難所でもトイレは混雑し使いにくい環境である事も考えられます。高齢者の方は、日常とは違う状況の中でついついトイレを我慢してしまうことも多く、体調を崩す恐れも出てきます。
 
また、非常時では普段出来ることができなくなる高齢者も少なくありません。トイレについても、尿意をうまく調節できない、我慢できないことなども増えますので、念のために成人用おむつも準備しておくと安心です。
 
・歯磨きシートや入れ歯洗浄シート
高齢者は抵抗力や免疫力が低いため、口内の清潔が保てないことで感染症にかかりやすくなります。しかし、災害時には断水になることも多いため、水を使わずに歯磨きができるシートがあると便利です。入れ歯を使用している高齢者の場合は、水の要らない入れ歯洗浄シートも準備しましょう。
 
・防寒や冷却グッズ
低体温や熱中症になりやすい高齢者のために、使い捨てカイロや冷却剤、断熱シートなど、どんな季節や気候でも対策できるものを多めに入れておいてください。
 
・レトルトの介護食
非常食は一般的なものでも良いですが、高齢者の方用には柔らかめのレトルト食品やとろみがついたものを準備しておいても良いでしょう。介護食は栄養バランスも考えられているものが多くおすすめです。
 

(2)備蓄品として追加しておきたいもの

基本的な備蓄品以外に、高齢者のために追加して準備していただきたいものは次の通りです。
 
・高カロリー食品
・おしりふき
・成人用おむつ
・医療機器のバッテリーなど
 
高齢者は特に栄養面に気を付けないと体調を崩しやすいため、少量でしっかりと栄養が取れる食品を準備しておきましょう。食欲がなくても食べやすいゼリー状の栄養剤は特におすすめです。また、飲み物も栄養バランスの優れたものを準備しておくと良いでしょう。
 
日常的に医療機器を使用している高齢者がいる場合は、停電しても使用できるように予備のバッテリーも備蓄しておきましょう。

 

まとめ:非常時も高齢者にストレスがかからないような準備をしましょう


高齢者は災害時や避難時に体調不良を起こすことがしばしばあります。せっかく災害から身を守れたにも関わらず、その後の環境で健康を害しては元も子もありません。
 
毎日そばにいる家族が高齢者の日常の様子や体調をしっかりと観察し、それぞれに合った避難袋を準備することは、高齢者を災害から守るための重要な手段です。
 
決して難しい災害対策ではありませんので、大切な家族を守るためにも、ぜひ一度避難袋の中身を見直してみてください。