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災害時に高齢者を取り残さないための7つの対策

0.災害弱者になってしまう高齢者

災害時には迅速な避難や安全の確保が求められますが、体力的な衰えや必要な情報を素早く得られにくい高齢者は避難が遅れがちで、災害弱者になりやすいと言われています。
 
今回は、高齢者が災害弱者になってしまう理由と、高齢者が取り残されずに避難するための対策について解説します。
 

1.なぜ逃げ遅れるのか?


避難勧告や避難指示が出た後、避難せず自宅に留まる方の姿をニュースで見かける事はありませんか。「大丈夫だろうか…」と心配になりますが、避難しない・できない理由には次のような事が考えられます。
 

(1)自分は大丈夫という思い込み

災害を経験したことのない人の中には、たとえ大きな災害が迫っても「自分は大丈夫」という正常性バイアスや楽観性バイアスが働くことがあります。
 
そのため、警報レベルの非常事態であるにも関わらず、「自分が住んでいる地域は今まで大丈夫だったのだから、きっと今回も大丈夫だ」という楽観的な判断から避難が遅れる方もいらっしゃいます。
 

(2)情報が得られていない

災害時に停電が起こると、今までテレビで情報を得ていた高齢者は正確な情報を得づらくなります。スマホや携帯を持っていない高齢者は、避難のタイミングがわからないまま災害に巻き込まれる可能性が大きくなるのです。
 

(3)周りに迷惑をかけたくないという気持ち

特に体力的な問題や持病を抱える高齢者の方は、周囲に迷惑がかかるのではと気にして避難をためらう方がいらっしゃいます。周りの人の避難を妨げてしまう、避難先で迷惑をかけるくらいなら自宅にいることを選ぶ…これは、集団の和を乱すことを嫌う日本人の特性なのかもしれません。
 
非常事態のときこそ助け合いの精神が求められます。「お互い様」の気持ちで、助けを求めやすい声掛けをするなどの工夫をしていきましょう。
 

2.高齢者を取り残さないためにできること


高齢者が逃げ遅れないため、速やかに避難してもらうためには、普段から非難するための準備をしておくことが重要です。そして、いざという時は早めの行動と丁寧な声掛けを心がけてください。
 

(1)避難用リュックの準備

避難するときの持ち物は、平常時から1つにまとめておきましょう。高齢者の場合は、一般的な防災セットのほかに持病の薬やお薬手帳、杖、防寒具、介護用食品、オムツなど必要な品物が多くなりますので、家族や介護者がチェックしてさしあげることも大切です。
 

(2)ハザードマップ・避難経路の確認

自宅近辺の危険エリアや複数の避難経路の確認も、平常時に行っておくと安心です。避難所までの経路を高齢者本人と一緒に歩いて、道中に危険な箇所がないかもチェックしておきましょう。万一、家族とはぐれた時に落ち合う場所も決めておくと安心です。
 

(3)緊急時連絡カードの作成

災害時・緊急時に連絡してほしい人や病院を記入した連絡カードを作っておきましょう。一人暮らしの高齢者の場合は特に必要です。家族や親せき、かかりつけ医の連絡先のほか、持病や服用中の薬も記入しておくと良いでしょう。
 

(4)避難行動要支援名簿への登録

各自治体では、災害対策基本法で義務付けられている「避難行動要支援者名簿」というものがあります。自力で非難することが難しい高齢者・障害のある方は、事前の登録申請で災害時に安否確認や避難支援を行ってもらえます。
 

(5)家族との連絡ツール確認

スマホやパソコンを使い慣れていない高齢者にも、最低限の使い方だけは伝えておきましょう。LINEやSNSを普段から使うような環境を作ることも大切です。子どもや孫と定期的にLINEやSNSでやりとりをする習慣をつけておけば、いざという時の連絡にも役立ちます。 
災害時に最新の情報を得るためにも、スマホやパソコンは必須のツールです。
 

(6)近隣住民とのコミュニケーション

家族や親せきが近くにいない高齢者の方は、近所の方の助けが必要になる場合もあります。地域でお互いに助け合い、行動するために、普段から積極的に地域との交流を行い、行事などにも参加しましょう。
 

(7)早めの避難と声掛け

避難するか否かの判断は「警戒レベル」が基になり、高齢者の方の避難は、「警戒レベル3」とされています。各自治体からの情報を確認し、情報を得たら早めの避難を心がけましょう。
 
「家を離れたくない」など避難をためらう高齢者の方には、ただ急かすのではなく、周りのため、家族のために避難してほしいと伝えてみてください。人に迷惑をかけてしまうと考える高齢者の方には、「お子さんやお孫さん、周りの皆がが悲しむから一緒に逃げよう」と、自分の命が自分だけのものではない事を伝えると、気持ちを動かしていただきやすくなります。
 

3.まとめ:日ごろからの備えと交流が大切

高齢者の逃げ遅れを出さないためには、日ごろからの準備はもちろん、平常時から災害について話しておくことが大切です。もし災害が起こったときはどうするのか、バラバラに非難しなければならない時はどういう方法で連絡を取り合うのか、最終的に落ち合う場所はどこか、なども時々確認しておくことをおすすめします。
 
災害はいつやって来るかわかりませんが、準備を怠らなければ、取り残しのない安全な非難は可能です。日ごろの備えとコミュニケーションを大切にし、いざという時は地域・家族みんなで助け合いましょう。