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インフルエンザ、コロナなど高齢者がいる家庭で気を付けたい感染症予防

0. 高齢者の感染症は悪化しやすい

一般的に高齢者は若い人たちよりも感染症にかかりやすく、重症化しやすいと言われています。大きな原因は免疫力や抵抗力が低くなることです。家族の中に高齢者がいる場合は、感染症への対策が大変重要となります。今回は、高齢者がかかりやすい感染症やその症状と感染症予防についてお話します。
 

1. 高齢者がかかりやすい感染症

高齢者がかかりやすい感染症には、次のようなものがあります。
 

(1) インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することで発症する感染症で、毎年秋から冬にかけて流行しやすい病気です。主な症状は
・38度以上の発熱
・関節痛・筋肉痛・頭痛など
・のどの痛み・鼻水・咳など
・強い倦怠感
 
風邪もよく似た症状が出ますが、症状が急激に悪化するという点がインフルエンザの大きな特徴です。発症しても、薬を服用して安静にしていれば1週間ほどで治まりますが、高齢者や乳幼児の場合は重症化して脳炎や肺炎になる恐れもあります。
 

(2) 新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルスによる感染症です。主な症状は、
・発熱
・のどの痛み・咳・鼻水など
・倦怠感
・味覚異常
 
などがあります。多くの人は症状も軽く、安静にしていれば治癒しますが、免疫力が低下していると重い呼吸器疾患などを起こす場合があります。主な感染経路は飛沫感染や接触感染と考えられ、感染を防ぐためには正しい感染症対策をとることが重要です。
 

(3)肺炎

肺炎は細菌やウイルスが鼻や口から入り、さらに気管から肺に侵入した結果、肺に炎症を起こす病気です。高齢者に最も多いものとして誤嚥性(ごえんせい)肺炎があります。
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液、胃液などと一緒に細菌を誤って気道に吸引しておこる肺炎で、飲み込む力が低下した高齢者には特に注意が必要な感染症です。通常、肺炎は高熱が出ますが、高齢者の場合には発熱しないことも多くあります。
 
咳・タン・息苦しさが続くうちに気づいたときは重症化している場合もあるため、高齢者の様子がいつもと違うときや、たとえ軽い症状でも長期間続く場合は、出来るだけ早く病院で診てもらいましょう。
 

(4)ノロウイルス感染症

ノロウイルスは、特に冬場によく見られる感染性胃腸炎の原因ウイルスです。貝類などに含まれ、加熱不足や経口で感染します。発症すると激しい下痢と嘔吐を繰り返し、通常1~2日程度で治癒します。
しかし、高齢者の場合は下痢や嘔吐による脱水症状、体力低下などが激しく、重症化することがあります。嘔吐物による窒息や誤嚥にも注意を払わなければなりません。
 

2. 家庭でできる感染症対策とは


感染症を予防するためには、感染症対策を日常生活の中で習慣化させること、自分が感染源にならないようにすることが大切なポイントです。
 

(1) 手洗い・うがい

最も基本的な感染症予防は、こまめな手洗いとうがいです。外から帰ってきた際には手洗い・うがい、トイレの後のしっかりとした手洗いを習慣にしましょう。
手を洗う時は、指の間や爪の先、手首まできちんと洗うことが大切です。うがいをするときは、口腔内だけでなく喉の奥までゆすぎましょう。
 

(2) こまめな換気と適切な湿度

部屋の中は、一定の温度と適切な湿度(40~50%程度)を保つよう心がけてください。その一方で、換気をすることも大切です。ですが、寒い時期に窓を開けるのは温度変化が激しくなり、かえって高齢者の体調を崩してしまうかもしれません。
 
おすすめは、風呂やトイレの換気扇をつけっぱなしにしておくことです。すると常に空気が対流し、自然と換気ができます。音が気にならなければキッチンの換気扇を回しておくのも良いでしょう。
 

(3) 衣類・身体を清潔に

感染症が流行しやすい冬は入浴がおっくうになりがちですが、出来るだけ身体を清潔に保つことが大切です。衣類にもウイルスはついています。外から帰ってきたら上着はしっかりとはたき、除菌スプレーなどをかけ、他の衣類はこまめに洗濯をしましょう。
 

(4) 予防接種を受ける

インフルエンザのように予防接種が可能なものは、医師と相談の上、あらかじめ予防接種を受けておきましょう。高齢者だけでなく、家族も受けておくことをおすすめします。
 

(5) 十分な睡眠と栄養摂取

たとえ万全の感染症対策をしても、本人の体力や免疫力が弱っていれば感染症へのリスクが大きくなります。バランスのとれた食事と、十分な睡眠をとりましょう。
過度なストレスも免疫力低下につながります。ストレスの解消や気分転換、筋力の維持のために、適度な運動も行いましょう。
 

(6) マスクの着用

万一、感染症にかかったり、咳が出たりしている場合は、高齢者やほかの家族に移さないように、必ずマスクを着用してください。マスクは、鼻と口の両方を覆い、隙間なく正しい方法で着けましょう。
 

まとめ:感染症は正しく怖がる

高齢者にとって、感染症は命に関わる危険な病気です。しかし、普段から家族が高齢者の様子に気を付け手洗い・うがいをきちんとすることで、感染症リスクは大きく下がります。高齢者ご本人も自分の体力を過信せず、最大限の感染症対策を行いましょう。
 
ただし、感染症を怖がり過ぎて外出や人との関わりを避けると、かえって運動不足やストレスをためる原因にもなります。適度な運動や外出、趣味を楽しむことも高齢者の健康には大切です。
 
感染症をむやみに怖がるのではなく、病気の原因や症状を知ったうえで正しく怖がり、日常的な予防対策と心身の健康維持を心がけることが、最も良い感染症予防です。