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「季節の変わり目に体調を崩しやすい高齢者、気を付けたいポイント」

0.高齢者が苦手な季節の変わり目

気温や気候の急激な変化が起こりやすい季節の変わり目には、体調不良を起こしやすく、特に高齢者の方は時として命にかかわる場合もあります。高齢者の体調不良を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。今回は季節の変わり目に体調不良を起こしやすい理由と、気にかけた方が良い高齢者の症状や対応の注意点についてお話しします。

なぜ季節の変わり目に体調不良を起こしやすい?

季節の変わり目に体調が崩れる原因の1つは、体温調節機能の不調と言われています。
人は気温の変化に合わせて自然と体温調節を行い、体調を整えるという機能を備えているのですが、急激な気温差が続くと体温調節機能が追い付かず上手く働かなくなることがあります。加齢によって既に体温調節機能が低下しつつある高齢者の場合は、寒暖差の影響をより大きく受けてしまうのです。
体温のコントロールには自律神経が大きく関係しており、自律神経のバランスが崩れることで、体中に様々な不調を起こすと考えられています。

 

(1)自律神経の働き

自律神経とは体の中にある無数の神経の1つで、交感神経と副交感神経から成り立っています。2つの神経がうまくバランスを取ることで体の機能を調整し、心身の健康管理を行っているのです。
交感神経は主に昼間優位になり、心拍数を上げる、血圧を上げる、筋肉を緊張させるなど、心身の活動を促進する神経です。一方、副交感神経は主に夜間優位になり、心拍数や血圧を下げる、筋肉を緩める、興奮を鎮めてリラックスさせるなど、心身を休ませる作用があります。
気温が上がると体温を下げるために発汗させ、寒い時には血管を収縮させて体内に熱を蓄える、という自動調節機能も自律神経が正常に働くおかげです。寒暖差が激しすぎるとこの自律神経が上手く機能しなくなり、その影響で体調を崩してしまうのです。
高齢者は自律神経の働き自体が低下しているケースも多く、若い世代にはそれほど影響を受けないような寒暖差でも自律神経のバランスが崩れて体温調節が上手くできないことがあります。
 

(2)高齢者に見られる不調

自律神経のバランスが崩れると、体温調節機能の他にも身体に様々な影響が表れます。例えば、
・食欲低下
・消化器官機能の低下による下痢や便秘
・発熱やだるさ、倦怠感
・めまいや耳鳴り
・不眠、うつ、無気力
 
特に高齢者で気を付けるべき症状は、食欲不振・消化器官機能の低下・発熱です。
また、体温調節が上手くできないことで、熱中症や低体温症、インフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。いつもとは違った感覚があったり、家族から見て少しでも様子が違うと感じたときは、慎重に経過を観察し、必要に応じて病院へ行くなど適切な対応を取ってください。

 

2.高齢者が体調を崩さないためのポイント

季節の変わり目に高齢者が体調を崩さないためには、普段から自律神経のバランスが崩れないよう気にかけていきましょう。と言っても特別難しいことを行う必要はありません。次のポイントを押さえ、それぞれの家庭に合った対策をしてください。

 

(1)生活リズムを整える

毎日規則正しい生活をしましょう。決まった時間に起床し、ご飯を食べ、寝るという基本的な生活をきちんと続けるだけでも、心身のバランスは自然と安定します。
特に仕事などがなく時間を自由に使える高齢者の場合は、いつの間にか生活リズムが不規則になりやすいため注意が必要です。

 

(2)食事と脱水対策

食がだんだんと細くなりがちな高齢者は、短期間の食欲不振でも体力や免疫の低下により大事に陥ることがあります。しかし、食欲がない時に無理に食べると消化器官の不調を引き起こすリスクも出てきます。
食欲がない時は栄養バランスの良し悪しは一旦忘れ、ご本人の好物などとにかくなにか食べることを優先させましょう。食事が減ることで摂取できる水分量が減り、脱水症状を起こす場合もありますので、ジュースやゼリーなど水分が含まれる食品もおすすめです。

 

(3)衣服やエアコンによる温度調整

高齢者は皮膚の感覚も低下しているため、暑さや寒さを感じにくくなっています。気温の変化に応じた衣服の調整が上手くいかない時は家族や周りの人たちがサポートし、エアコンも適切に活用してください。
 

(4)適度な運動

体力に応じた適度な運動は筋力維持のためにも重要ですが、自律神経のバランスを保つためにも大切なポイントです。1日15分程度で良いので、軽いウォーキングや散歩、ストレッチなどを行うようにしましょう。
 

 

まとめ:規則正しい生活で季節の変わり目を乗り越えよう

季節の変わり目に起こる高齢者の体調不良は、感染症にかかりやすくなったり、寝たきりのきっかけになることもあります。老後を生き生きと過ごすためにも普段から3食きちんと食べ、十分な睡眠をとり、気持ちよく体を動かし、生活リズムを整えることで自律神経のバランスが安定するように心がけましょう。