コラム

コラム
シンボル

東京都健康長寿医療センター研究所に期待される役割

医療技術の進歩や生活水準の向上などにより、日本は世界一の長寿国となりました。喜ばしいことかと思いきや、健康面や金銭面の不安から「自分自身はそこまで長生きをしなくてもいい」という若者の声も増えており、少子高齢化による社会保障制度の破綻や日本経済の衰退も懸念されています。

 

今後もますます高齢社会が進むと予測される中で、どの世代も幸福を感じられるような、良いサーキュレーションができあがる日はくるのでしょうか。今回は、超高齢社会を迎えた日本において「東京都健康長寿医療センター研究所に期待される役割」についてお話しいたします。

東京都健康長寿医療センター研究所とは?

東京都健康長寿医療センター研究所とは、超高齢社会がもたらす諸問題の解決を目指した研究機関です。高齢者医療・老年学・老年医学研究の拠点として、医学・医療研究者をはじめ、社会科学分野の研究者、現場で活躍する医療従事者など、さまざまな分野の専門職が連携し、高齢者の健康増進や健康長寿の実現などに取り組んでいます。

 

この研究所が生み出す成果は、高齢者医療や保健、介護サービスなどにおける画期的かつ実用的な解決策として高く評価されています。現在は「健康づくり推進」研究プロジェクトが進められており、日本の明るい未来を切り拓くための重要な存在として今後の活躍も期待されています。

高齢社会における研究所への期待

日本は世界に類を見ない速度で高齢化が進み、2025年には国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上になると予測されています。「周りを見渡せば高齢者ばかり」という現実が目の前に迫っており、このままでは日本経済の衰退や社会保障制度の破綻が避けられません。

 

急速な高齢化が進む日本において、東京都健康長寿医療センター研究所への期待はますます高まっています。ここでは、超高齢社会を迎えた日本で研究所に期待される役割について考えてみます。

 

高齢者の健康維持や疾病予防

日本は、医療技術の進歩や生活水準の向上によって、世界一の長寿国となりました。しかし、健康で自立した生活ができる時間(健康寿命)は、平均寿命よりも約10年短いという統計が出ています。そのため、人生の終盤を迎えた多くの高齢者は、病気やケガなどによる身体的・精神的苦痛、医療費や介護費用による経済的負担、介護を担う家族への心理的負担などを抱えながら生活していると考えられます。

 

超高齢社会を迎えた日本において、高齢者の生活の質向上をはじめ、経済的負担や介護負担の軽減、医療費の削減、社会保障制度の維持などに繋がる健康寿命の延伸は最重要課題です。東京都健康長寿医療センター研究所には、高齢者の健康維持や疾病予防に向けた施策の構築、新たな治療法の開発などが期待されています。

高齢者の福祉や生活支援の充実

少子高齢化や核家族化が進む日本では、高齢者の単独世帯や高齢夫婦のみの世帯が増加しています。これに伴って、高齢者の介護を高齢者が行う「老々介護」、認知症患者の介護を認知症の高齢者が行う「認認介護」、そして長期間にわたって誰にも気づかれずに亡くなってしまう「孤立死」の3つが大きな社会問題になっており、事件化するケースも増えてきました。

「人に迷惑をかけたくない」「サービスを受けるための金銭的余裕がない」「そんなサービスがあるなんて知らなかった」という声も多く、現時点における高齢者向けの福祉や生活支援は十分な効果を発揮できていないと言わざるを得ません。

 

高齢者が安心して暮らせる環境の整備は、高齢者の生活の質向上をはじめ、家族の身体的・精神的負担の軽減、居宅施設不足の解消、地域社会の活性化などに繋がるため、超高齢化社会を迎えた日本には必要不可欠な取り組みです。東京都健康長寿センター研究所には、高齢者の福祉や生活支援の充実に向けた現制度での問題点抽出、人材不足の解消や効率的なサービスの拡充を含めた新たな施策の構築が期待されます。

高齢者の雇用機会の創出

少子高齢化が進む日本では、社会保障制度の維持や日本経済の発展を目指し、高齢者の雇用拡大に向けた議論が進んでいます。定年制の廃止や延長、再雇用制度などが導入され、高齢者の健康維持や経済的な安定、生きがいの確保、社会との繋がりの維持という多くのメリットを生み出していますが、人手不足にも関わらず、なかなか思うように仕事が見つからないという高齢者も少なくありません。

 

東京都健康長寿センターには、高齢者の技術や経験を活かした雇用機会の創出、再就職支援プログラムやカリキュラムの開発、高齢者が働きやすい職場環境の確保に向けた取り組みが期待されます。

 

高齢者をサポートできる人材の創出

「お花遊びサロン」「花コミュニケーター」の学術監修にて、地域コミュニティや福祉施設などで高齢者向けの【健康長寿のお花遊びサロン®】を開くための知識や技能を有する人材創出をサポートしています。

花*コミュニケーターは花を生ける技術を教える人ではなく、高齢者と花を通じてコミュニケーションする人材です。芸術療法を用いた生花による自己表現により、高齢者をサポートします。

まとめ

世界一の長寿国である日本には、少子高齢化による多くの課題が浮上しています。健康寿命の延伸、高齢者の福祉や生活支援の充実、雇用機会の創出など、早急に取り組まなければならない課題が山積みです。

 

今後もますます高齢化が進むと予測されている中で、東京都健康長寿医療センター研究所には、長寿を歓迎できる社会の構築や未来に希望を持てる仕組み作りが期待されます。「長生きしたい」「生きていて良かった」という感情を多くの方々が抱けるよう、イキイキとした高齢社会の実現に向けて私たちも協力していきましょう。

 

この記事は、『健康長寿のお花遊びサロン』で活躍する花コミュニケーターの監修を受けています。健花法・老年学・心理学など、幅広い専門知識をもつ花コミュニケーターの見解とアドバイスを基に有益な情報をお届けいたしますので、「健康長寿を目指す方」や「高齢のご家族をお持ちの方」、「誰かの役に立ちたいとお考えの方」など、ぜひ参考にしてください。